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那須・雪崩事故 学校教育での登山が問われている [クライミングを復活させたい]

 那須のスキー場上部の斜面で起きた雪崩が、栃木県の高校山岳部の合同訓練のパーティーを襲いました。その結果7人の高校生と引率の教師1人の合わせて8人が死亡しました。あまりにも大きい犠牲に呆然としてしまいます。謹んでお悔やみを申し上げます。

 合同訓練の責任者の高校が警察の家宅捜索を受けるなど、事故原因の究明がなされようとしています。またスポーツ庁が、学校登山の実態を調査する方針を示すとともに、改めて高校の山岳部に冬山登山をしないよう通知を出したということです。

 私は高校、大学と山岳部にいました。高校時代はインターハイに出るようなレベルの高い高校ではありませんでしたが、当時から冬山登山は「登らない」方針であったと記憶しています。ですから春休みは残雪を求めて、京都の北山や鈴鹿へ行っていました。シリセードで滑ったり、わざと倒れ込んだり、雪合戦したりして、夏山以上に楽しかった思い出があります。

 大学では先輩に連れられて、岩登りや沢登り、冬山に行きました。年中登山をしていました。しんどいこともありましたが、登山を重ねることで、人間として成長しているように思うこともありました。

 今回の雪崩事故で亡くなられた生徒さんの遺族がインタビューに答えられていました。非常に胸が詰まりました。泣きそうになりました。こうした残される人たちのことを忘れて登山してはいけないと改めて思いました。

 よく友人から「子供さんは山に登らないのですか?」と聞かれます。自分の子供はバスケットボールでよかった。高校や大学で「山岳部に入る」と言ったら、どうしようかと心配でした。山の厳しさを少なからず私は経験しているからです。

 高校山岳部では顧問の方の経験はどのように検討されるのでしょうか。「20年のベテラン」と言われていますが、年数だけで「経験」を計ることはできないと思います。「顧問だから経験豊富」と本当に言えるのでしょうか。

 大学山岳部は山に登ってたかだか3〜4年目でリーダーになります。自分の実感も含めていうと、この年数で登山のリーダーになるのは難しいというか、ある意味で無謀とも思います。最近では大学のカリキュラムが忙しくなって山行日数も減ってきていると聞きます。山行日数の多さで経験不足をカバーしていく大学山岳部の伝統も崩れようとしているのです。

 日本人は冒険の精神がないと言われた時代もあります。冒険と安全は相反するものと思われがちですが、知識と綿密な計画のもとで行う冒険は、無謀なものではないと思っています。引き返す基準、タイミングを持っていれば良いのではと思います。

 今回の事故でどうしてもわからないのが「雪崩の知識は十分だったのだろうか」ということです。暖かい日が続いた後に雪が30~50センチ降ったら、雪が落ち着くまで行動できないと思わなかったのでしょうか。

 その他にもあります。森林限界上の雪面が危なさそうだと思わなかったのでしょうか。ラッセル訓練は下部の樹林帯だけで行うことはできなかったのでしょうか。合同訓練でリーダーシップは曖昧なものになっていなかったでしょうか。

 猛吹雪の中の訓練は本当に必要なのでしょうか。昔の軍隊意識がなかったのでしょうか。この歳になるとわかります。吹雪の時に出かける必要なんかないんだと。天候の良い時に行くほうが、確実に生存率が高まります。気持ちの良い思い出が残り、また山に行きたくなります。

 学校教育現場で、命をかけて登山する必要はないと思います。登山は一生涯かけてできるスポーツです。みんながみんなヒマラヤを目指す時代でもありません。学校では登山の楽しみ、自然科学への探究心、自らに打ち勝つ精神力と体力を養うで十分ではないか。末長く登山を楽しむ人材を学校現場で基礎づくりし育成することが大事なのではないか。

 ビーコンなどの装備の問題や特定の教師の責任を問うだけではなく、今回の事故は、学校教育現場における登山そのものが問われているのだと思います。


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