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岩と雪ベストセレクション1958-1995 この企画の実現に拍手したい [山の本、TVなどメディア関係]


『岩と雪』 Best Selection

『岩と雪』 Best Selection

  • 作者: 池田 常道
  • 出版社/メーカー: 山と渓谷社
  • 発売日: 2017/01/20
  • メディア: 単行本



 出版が去年発表されて以来、どんなものになるか興味津々でした。

 山と渓谷社が出版していた「岩と雪」は1958年に創刊。1995年の169巻を最後に休刊しました。本格的山岳雑誌を標榜しているだけあって海外の記録が豊富で、日本のクライミングシーンに与えた影響は大きかったと思います。なんといっても創刊の1958年は8,000m峰のうちガッシャーブルムI峰とダウラギリ、シシャパンマが未踏峰で、日本ではRCCIIが立ち上がった年でした。

 内容は池田常道さんが選んだ41編が収録されました。原本を複写したもので、多少読みづらいところもありますが、当時の熱気がそのまま伝わってくるかのようです。

 最初の頃は編集の方針もあって、評論が多いですね。本多勝一さんの「パイオニア・ワークとは何か」は京都大学探検部時代の学生だった頃の評論です。早熟ですよね、当時の学生は。

 上田哲農さんの文章は今の時代でも色褪せないクライマーへの深い洞察を感じさせます。柏瀬祐之さんの「アルピニズムは帰って来た」は何事にもとらわれない登山の創造性を説いていて私もかなり影響を受けました。

 また戸田直樹さんの文が多いです。ジョン・バーカーが表紙となった72号が決定的だったのでしょう。ヨセミテのフリー・クライミングを紹介、実践する記事がいかにその後の日本の登攀を変えたのか象徴するようです。

 リアルタイムで岩と雪を買って覚えているのは山野井泰史さんの「ビッグウォールが待っている」です。コズミック・デブリ(5.13a)のビレイヤーは平山裕示さんというビッグでフレッシュなペアでした。先日亡くなった吉田和正さんのインタビュー(164号)も収録されています。北山真さんの追悼コラムは短いですが、鳥肌が立ちました。

 あとがきのページで書いていましたが、日本の登攀は70〜80年代に大きな変革が起こり、それぞれに分野でおだやかな発展が続いている、というのは当たっているなあと思います。

 とても一度には読みきれません。いずれにしてもこの企画を実現させた山と渓谷社には敬意を払いたいと思います。素晴らしいです。現代のクライマーが過去の登山家たちから学んだり感じるところもあるでしょう。またそうあってほしいと思います。

 ちょっとずつ読んでいきたいと思っています。しかし、どれだけ売れるのだろうか…

【以下、目次より】
編集室(川崎隆章)
ヒマラヤ登山の動向と将来(山崎安治)
パイオニア・ワークとは何か(本多勝一)
スーパーアルピニズム試論(吉田二郎)
日本のアルピニズムの行方(上田晢農)
コラム1 行き詰まりを予感した時代
ヨーロッパアルプスの冬季登攀(小西政継)
パイオニア・ワーク雑感(江上康)
コラム2 日本人の海外登山
アルピニズム未来論(二宮洋太郎)
ヒマラヤ鉄の時代によせてーRCCII十年の回想(奥山章)
新たな困難を求めて(松本龍雄)
座談会 海外登山・現状と問題点(中島寛、原真、安間荘)
高さと困難が登山の目的なのか(岩崎元郎)
日本の岩登りは限界を迎えたのか(斎藤一男)
国内登攀における今後の課題(古川純一)
登攀における主体性の確率(青木寿)
山ー桃水と失墜(遠藤甲太)
アルピニズムは帰って来た(柏瀬祐之)
登山と「神話」(高田直樹)
誰も書かなかったヨセミテ(吉野正寿、林泰英)
コラム3 ヨセミテの風1 ビッグウォールへのあこがれ
100メートルの壁と1000メートルの壁(坂下直枝)
奥鐘山西壁フリー化の試みーその遊戯と論理(山本譲)
コラム4 歴史を動かした表紙写真
ジョン・バーカーの華麗なボルダリング(戸田直樹)
ヨセミテとコロラドの体験(戸田直樹)
日本人のヒマラヤ登山とその背景(本田靖春)
高所登山のルネッサンス(原真)
コラム5 ヨセミテの風2 教訓を生かす
クン西壁 7000メートルの岩壁登攀(近藤国彦)
コラム6 来日クライマーの横顔
日英交流岩登り 日本の岩場をめぐって(デニス・グレイ)
烏帽子奥壁大氷柱(勝野惇司、菊池敏之)
コラム7 フリークライミング定着の足跡
衝立岩フリー宣言(池田功)
飛翔 瑞牆山十一面岩左岩稜末端壁をめぐるモノローグ1(戸田直樹)
飛翔 瑞牆山十一面岩左岩稜末端壁をめぐるモノローグ2(戸田直樹)
飛翔 瑞牆山十一面岩左岩稜末端壁をめぐるモノローグ3(戸田直樹)
高峰登山 現代登山批判にかえて(和田城志)
ビッグ・ウォールが待っている(山野井泰史)
極限のソロ バフィン島「トール西壁」単独登攀(山野井泰史)
コラム8 山野井泰史という男
インタビュー 鈴木英貴
コラム9 フリークライミングの申し子 平山裕示
インタビュー 平山裕示
EL CAPITAN 垂直のクルーズ(保科雅則)
コラム10 All About 「岩と雪」
アルピニズム33年史(池田常道)
コラム11 アルピニズムの過去・現在・未来
インタビュー 吉田和正
コラム12 追悼 吉田和正
日本ボルダリング紀行 石の人 草野俊逹
コラム13 あの人が生きていたら

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コメント 2

RW

山と渓谷は昔よく」読んだものですが今はさっぱり・・。他人さまの登山記録ブログをもっぱら参考にさせてもらっており出版業界には全く貢献していないRWです。(苦笑)
(PS)デヴィッド・ボウイ回顧展の記事を公開いたしました~
by RW (2017-02-20 22:19) 

かばたん

出版物は確かに読まなくなりましたね。電車でもほとんどスマホですものね。
ボウイ回顧展お伺いします〜
by かばたん (2017-02-21 07:46) 

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